東京デスライド(旧)

自転車で「自分的に限界ギリギリ」のライドをしたら更新します。

TIMEの新クライミングバイク 「アルプ・デュエズ(Alpe d’Huez)」の すべて【私家訳】

自転車メディア「bikerader」がTIMEの新クライミングバイク「Alpe d’Huez(アルプ・デュエズ)シリーズ」をかなり詳しく紹介しています。必要な情報をわかりやすく、丁寧に網羅したすばらしい記事なので、翻訳してご紹介します。 

TIMEの各フレームの剛性が数字で示されているのは興味深い!

----

TIMEはまったく新しい軽量レースバイク「Alpe d’Huezシリーズ」を発表。「軽さと反応性が出会う」というのが、完全にフランス製であるAlpe d’Huezシリーズの触れ込みだ。発売から時間が経った前モデル「Izon」の代わりに、クライミングバイクとしてラインナップされる。

その名からもわかるように、Alpe d’Huezシリーズは山岳での使用を想定している。TIMEはいつもの客寄せ口上である剛性と重量と同様に、あえて下り性能についても語っている。*1

Alpe d’HuezシリーズはAlpe d’Huez 01」と「Alpe d’Huez  21」の2バージョンが発売される予定だ。0121というネーミングは、(地獄として)有名なラルプ・デュエズの最初と最後のカーブの名前にちなんでいる。

Alpe d’Huez 01はフラッグシップモデルであり、目玉は公称840gSサイズ、ペイント抜き)という軽量さ。TIME史上もっとも軽いフレームだ。また、Alpe d’Huez 01はこのレンジでは最高の重量対剛性比を持つ。詳しくは、筆者によるAlpe d’Huez Ulteamのレビューをお読みいただきたい。

より手頃な価格のAlpe d’Huez 21930g、前モデルIzonに比べて10g重いだけであり、TIMEのエアロロード「Scylon」とエンデュランスロード「Fluidity」よりも軽い(この両者はともに公称950g)。

数値的に剛性を比較すれば、Alpe d’Huez 01(ねじり剛性*2135 Nm/degreeTIMEが提示した数値)はScylon150 Nm/degree)よりは下だ。Alpe d’Huez 2196 Nm/degree)は、Izon118 Nm/degree)ほど高剛性ではないが、Fluidity91 Nm/degree)よりは上だ。おわかりいただけただろうか?

Alpe d’Huezシリーズのフォーク*3375gTIMEは「Aktivフォーク」も提供しており、こちらは路面振動を吸収するために同調質量ダンパを取り入れている。*4 

フランスでハンドメイド

フレーム製造をサードパーティに外注している多くのヨーロッパブランドとは異なり、TIMEはまだ自社でフレームを製造している。自社の工房でカーボンとほかの素材を編みあげているのだ。

TIMEは「ほとんどのカーボンフレームが手で作り上げられるのは注目に値するが、我々のフレームはまさにそのハンドメイドである──製造過程において自動化の力を借りていないのだ」と強調する。

また、TIMEは主流とはいくらか異なることをしている。Alpe d’Huezのカーボン繊維の3%ベクトランという素材だ。これはタイヤの素材としてはより一般的で、TIMEによればフレームに振動吸収効果が付加されるという。

TIMEは「より良い構造的均質性」と、標準的なプリプレグのカーボンフレームよりも一貫した素材の緻密さを達成したとのことだ。RTMResin Transfer Moulding)製法によって、エポキシを鋳型に流し込み、気泡が除去している。

Alpe d’Huez 01のフレームは、7300本以上の繊維からできていて、ひとつひとつの繊維の長さを合わせると3kmほどになる。また、ひとつのフレームが作り上げられるまでには22時間かかる。

Alpe d’Huez 21のフレームも、似たような手法を用いて作り上げられるが、フレームの織り上げはAlpe d’Huez 01ほど複雑ではなく、繊維の数は6200本だ。高価で軽量なベクトランよりも、Alpe d’Huez 217%玄武岩を取り入れている。*5

Alpe d’Huez 01 vs 21

剛性と重量を決定づける素材構成を離れたところにも、このフラッグシップとセカンドグレードの間にはいくつか大きなちがいがある。

Alpe d’Huez 01は、TIME純正のカーボンシートポストを備え、プレート状のカーボン製シートクランプがリア側にある。*6トップチューブの終端部はすっきりとまとまっている。一方で、Alpe d’Huez 21では伝統的な金属製の巻きつけ式シートクランプが採用され、トップチューブとともに輝いている。

シートステーとの接続部もまったく異なっている。Alpe d’Huez 21では、リア三角は明らかに「シートステー・シートポストに接続されている感じ」だが、Alpe d’Huez 01では接合部は滑らかで、わからないようになっている。

コクピットを見てみれば、Alpe d’Huez 01Quicksetヘッドセットはほとんどゼロスタックを達成しており、一方でAlpe d’Huez 21は、従来的なヘッドキャップが数ミリの高さを加えている。

ここでお値段の話といきましょうか

価格と店頭発売時期

Alpe d’Huez 01の完成車価格は£4,995 / €5,590Shimano Ultegra / Mavic Ksyrium wheels)。Alpe d’Huez 21 の完成車価格は£2,995 / €3,190Ultegra mix / Mavic Aksiums)。*7

Alpe d’Huez 01のフレームセット価格は、クラシックフォークなら£3,895 / €4,290Aktivフォークなら£4,345 / €4,750

50台限定のUlteam haloバージョンはホイールにEnve SES 3.4、ペダルはXpro 15 pedalsを採用、完全なカーボン仕上げキットは、Dura-Ace Di2モデルで小売り価格£12,000 / €13,490SRAM eTAPモデルだと £11,500 / €12,990

Alpe d’Huez 21のフレームセット価格は£2,245 / €2,490TIMEは欲しいバイクを作れるコンフィギュレーターを用意している。ドル価格についてはまだ不明。 

自社製造であり製造に限界があるため、サイズちがいや別バージョンの製造は来年以降にずれ込むとのこと。

これが意味するのは、Alpe d’Huez 012月中旬には購入できるが、Alpe d’Huez 21のファーストロットはショップ6月までショップに届かないということだ。両フレームの全サイズは2019年の早い時期までには購入できるようになるだろう。

ディスクブレーキモデルはどうって? ローター装備のAlpe d’Huezがあるけど、来年まで待つことになるだろう。

もしAlpe d’Huezがお好みなら、このレンジで最高峰のUlteamバージョンのレビューを書いたのでチェックするのをお忘れなく。動画も見ていただければ。

----

もし、このフレームにご興味ある方は、ぜひ元記事もご覧になってください。掲載されている写真も要点を捉えたすばらしいものであり、TIMEならではの新フラッグシップの全体像と、「あのTIMEのセカンドグレード」の実態がかなりよくわかります。購入にあたって大いに参考になるはず。

訳した動機はもちろん欲しいからです。セカンドグレードの21なら衝動買いできなくもないですが、01はヤバいお値段。でもマジで欲しい。かっこよすぎる。

厳密な翻訳ではなく、読みやすさを重視した、ローカライズ的な翻訳です。正確性を重視される方は、必ず原文をお読みください。

本記事の引用を含めた、いかなる利用も禁止します。

原文:Matthew Allen, “The Time Alpe d’Huez is a French fancy built for climbing”,  bikerader, February 1, 2018

*1:訳注:同記者による試乗レビューを参照のこと。未訳。

*2:訳注:ねじり剛性とは、大まかに言って、「ねじったときの曲がりにくさ」を表す数値です。大きいほど、いわゆる「高剛性」です

*3:訳注:いわゆる「クラシックフォーク」

*4:訳注:原文Aktivフォーク内部の写真あり。

*5:訳注:玄武岩から作られた繊維は、スポーツ用品などに用いられています。

*6:訳注:元記事の写真をご覧ください。独自の形状です。

*7:訳注:日本ではフレーム販売のみです。Alpe d’Huez 01が590,000円(税抜)から、Alpe d’Huez 21が298,000円(税抜)からです。