有間峠を秩父側に下るとホラーが待ってる
こっち見んな。
長らく通行止めになっていた飯能の有間峠が2017年7月上旬に開通しました。
首都圏近郊有数のヒルクラスポット・飯能には数多くの峠がありますが、全体的に距離が短く斜度がきつい傾向にあります。
そんな中で有間峠は全長10km。ほかの峠と組み合わせることでヒルクライムのバリエーションを楽しめるのではないかと気になっていました。
早速行ってみたんですが、下る方向を間違えたかもしれない。
長い、だるい、ぼっちはつらい
まず、名栗湖(有間ダム)まで登ります。写真は1km弱だけど勾配がきついことで有名な「名栗湖前の激坂」ですね。
名栗湖の脇を抜けて先に進みます。
ガレガレだし秘境感すごいな…。
行き止まり。道間違えとるやんけ。
気を取り直して、はい、よーいスタート。
舗装は比較的綺麗ですが、砂利っぽいところが多いです。
へびしゃん。
沢の近くはやっぱり涼しい。
まぁまぁいい感じの滝。
…なんだけど、景色が開けないまま10km登るので飽きる…。
駅近なのを考えると、グループライド向けの峠かなと思います。とにかく単調なんで、誰かとダベりながらだらだら登りたいやつ。
頂上からの景色はなかなか。
恐怖のダウンヒル
来た道を引き返してもいいのですが、実は秩父側にも下れます。今回は登りが退屈すぎたのでダウンヒルは刺激を求めて未知なる秩父側へ。
この選択がぼくの運命を大きく変えることになった。戯れが常に良い結果に結びつくわけではないということだ。
山道を道なりに下っていくと水量が激減した浦山ダムが見えてきた。梅雨明けも近いが、今年は大雨が続いた記憶もない。
そういえば、香川県民は水不足になると高知や徳島から水をもらってきてうどんを茹でるという。今年の四国では主食の違いが悲劇をもたらすかもしれない。
そんなとりとめのないことを考えていたときだった。ぼくは道端から粘っこい、夏の湿気のような視線を感じた。
そちらを見てぎょっとしたが、何のことはない、ただの木像だった。どうやらスフィンクスを象ったもののようだ。
だが、視線はひとつではなかった。
…狛犬、なのか?
よく見れば、道端には奇妙な彫刻がいくつも並んでいる。
なぜこんなものが…?
言いようのない居心地の悪さを感じずにはいられなかった。
──……だぁ
──だなぁ
──ハハハハハ
今度は背後から話し声が聞こえた気がした。振り返ると、テントが張ってあって、その中で地元の人たちが何やら談笑しているように見えた。
日曜日だから、地区行事の準備でもしているのだろうか。
…
……
………
声が止んだ。
気に障ることでもしてしまったか?
写真を撮ったのがまずかった?
そうだ、撮影許可はもらわないと。
──すみません、写真を…。
ぼくはそこで気づいた。最初から声なんか聞こえるはずがないことに。
テントの中にいたのは、人形だったからだ。
ダウンヒルで身体が冷えたわけでもないのに、背筋が冷たかった。
…
……
………
この辺は作り話です。
これらの彫刻・人形は地元のアーティストの方が製作し、ツーリズムの一環で道路脇に設置されたもののようです(それっぽいことが書かれた看板がありましたが、詳細は不明)。おかげさまで妄想が捗って楽しかったです。
その後は、秩父駅まで下りました。有間峠の頂上から20〜30kmほどでしょうか。わらじカツ丼を食べ、レッドアロー号で帰宅しました。
名栗近郊には、焼きカレーで有名なカフェレストラン「ターニップ」やスイーツがおいしい有名店「Cafe Kiki」など、グルメスポットが多いこともあって、秩父側に下る人は少ない気がしますが、有間峠や山伏峠を登ったあとは秩父駅から輪行するのもバリエーションとしてアリだと思います。
ちなみに、わらじカツ丼は秩父駅のフードコートで食べましたが、ふつうにボリューミーでおいしかったです(約1,000円)。地元の名店はほぼいつでも並んでいるので、割り切ってこちらで食べてしまうのもいいんじゃないかと。