首都圏最強の激坂「風張林道」のヤバさをまとめてみる。
東京の秘境・檜原村にある「風張林道」。入口からして斜度12%ほどもある。ここにたどり着くまでにも数百m登るため、総合的な難易度は首都圏でもまちがいなくトップクラス。
自転車に乗り始めてすぐにその名前を知った、東京都檜原村にある激坂・風張林道。あちこちのブログでヤバいヤバいと書かれていて、近寄りがたい存在となっていましたが、明神・三国峠や美ヶ原をクリアし、ホイールも換装したのをきっかけにチャレンジしてみることにしました。
スペックは以下の通り。
- 全長:4.2km
- 獲得標高:491m
- 平均斜度:11.7%
和田峠や子の権現とは比較にならない厳しさ
序盤の難所。激烈な斜度がどーんと続いているのがはっきりとわかってしまう。それを太陽に焼かれながら登らなければならない。※ダウンヒル中に上から撮影。
結論から言うと、予想通りのヤバさでした。へるはうんどさんが「四天坂」として、首都圏近郊で有名な激坂4つ(都民の森・和田峠・子の権現、そして風張林道)を一括りにしていますが、はっきり言って風張林道は別格です。ほか3つの峠は、ある程度の根性と脚力またはペダリングスキルがあれば初心者でも登り切れる可能性があると思いますが、風張林道には根性論や小手先のテクニックは通用しないでしょう。
景色はすばらしいが、登っている最中に堪能することはできない。
【風張林道林道の要点】
- 事実上、1,000mを25km(平均斜度6.7%)で登ることになる。
- 景色がただの森になってからが長い。正確には速度が出ないので時間がかかる。
- 天候の影響はばっちり受ける。
僕は都民の森と和田峠をアルミのミニベロロードに乗り始めて3カ月ほどでクリアしています。根性はある部類で、延々続くワインディングや直線を見てもぐっと堪えて黙々と登り続けることでなんとかしました。
子の権現もその後、ロードバイクに乗り換えてからすぐに打開しました。こちらはダンシングのテクニックが必要なので、都民の森と和田峠よりも確実に難しいと思いますが、求められるのは300mの激坂区間を乗り切る技術という側面が強いです。そうした技術は百草園などの短距離激坂で比較的容易に習得できるものでもあります。
中間地点にある「きのこセンター」。風張林道で力尽きたローディはここで舞茸の苗床となり、大地に還るのだ…。
きのこセンターを抜けると、ちょっとした集落がある。無理をせず木陰で休んでもいいだろう。再発進する気になる斜度ではないが。
が、風張林道が求められてくるのは経験です。いくつもの峠を実際にクリアし、自分なりのペース配分や峠攻略手法を確立していないと、とてもではないですが耐えられないと思います。
数値的に言えば、和田峠より1km長いだけなのですが、出せる時速は5〜6km/hであり、ざっくり計算しても和田峠より10〜12分長く耐えなければなりません。
入口にたどり着くまでもそれなりの距離・斜度であり、高尾駅からすぐに行ける和田峠とは立地面で大きな差があることも、風張林道のほうが圧倒的に難易度が高い理由です。
風張林道にアクセスする場合、始点となる武蔵五日市駅から「前座」として21km強を走り、500mほど登らなければなりません。
陽が差し込む区間が半分ほどを占めるため、暑い日は体温が見る間に上昇していきます。風がある日は横風を受ける場合もあるでしょう。
いわゆる「東京都字マチュピチュ」。絶景がモチベーションを回復してくれるが、ここからが長い。
景観がいい区間もありますが、精神的に一番つらい後半は森の中であり、同じような道を延々登ることになります。明神・三国峠や美ヶ原は後半ほど高地特有の高揚感があり、モチベーション面では風張林道ほど過酷ではありませんでした。
終点付近にある「林道風張線」の看板。面白味のない風景と急傾斜が苦行感を高めてくれる。
僕は足付きなしでクリアしたものの、あまりの辛さに30分ほど地面に転がっていました。何もかも使い果たした感じで、ある種の徒労感すらあります。
終点。奥にあるゲートの先に見える奥多摩周遊道路が光の世界のように見えてしまうほど、ズタボロにされた。
風張林道に挑んでみようという人は相当の覚悟を持って、どうぞ。これをクリアできるなら富士山や大弛峠、乗鞍などに挑む時期が来ていると考えていいのではないでしょうか。