東京デスライド

自転車で「自分的に限界ギリギリ」のライドをしたら更新します。

530km走って10,000m登る旅は渋峠で終わった。

渋峠にはローディが求めるものがすべてある。

5日間の自転車旅行最終日、ゴールに選んだのは渋峠。信州や群馬を巡ることにした理由は、渋峠があるから。冬季に黙々とヒルクラをしていたのも、渋峠を余裕を持って登り切るため。すべては渋峠のために。

コースは以下の通り。

  • 走行距離:83km
  • 獲得標高:1,925m

前日は浅間山麓・北軽井沢に宿泊。

泊まったのは『かまいたちの夜』や『金田一少年の事件簿』の舞台に選ばれてもおかしくないような、昭和なペンション「コスモス」。1泊朝食付き6,300円とリーズナブル。

ペンションの朝食は地場野菜のサラダとオーナーさん自家製のブルーベリージャムが絶品。

長野と群馬を貫くロマンチック街道を北上して草津を目指します。

これから登る白根山渋峠)付近が突然目の前に現れてテンションはうなぎ上り。

こうしたパノラマは草津まで輪行したのでは見ることができません。今回、自走にこだわったのはこうした山のダイナミズムを味わい尽くしたかったから。

草津温泉街までの登りもなかなか強烈。坂としてのタイプは異なりますが、きつさは箱根の新東海道くらいあるでしょう。

同道した中川苦行氏はズタボロにされた模様。

途中のコンビニで振り返ると、浅間山の姿が。前日の宿泊地がもうあんな彼方に。旅の終わりが近いのを実感。

セブンイレブン草津店から見えた浅間山

温泉街観光は後回しにして志賀高原に突入します。

まだ景色が寒々しい志賀高原

5日間で登った山岳の中で一番寒かったですね。陽の光は暑いくらいなのに、風が冷たい。都内は夏のような陽気だったのでしょう。序盤数キロこそゆるい登りが続きますが、斜度は7〜十数%が延々と続く感じ。美ヶ原ほどきつくはありませんが、都民の森の料金所以降や箱根の小涌谷をイメージしておくといいでしょう。

渋峠名物の雪の壁。

でも、テンションが上がって、ガンガン踏んでしまう。早く渋峠ホテルにたどり着きたい。『弱ペダ』の真波が言っていた「山頂が近づくとギアが自然と上がっちゃう」そのもの。

絶景を写真に収めたいというのもありますが、とにかく全身で山を感じ、登り切って理解することが大事かなと思っています。写真はダウンヒルのときに撮るのが一番いいと思います。

渋峠の美しさを言葉で言い表すのは難しい。美ヶ原が最果てなら、こちらは空まで駆け上がって行ける特別な場所という感じかもしれない。

ローディ、バイカー、乗用車で来た人たちで賑わう国道最高点。『ろんぐらいだぁす!』でその存在を知って、絶対に行くと決めていた。

5日もかけ、何十時間も自転車とともに過ごしましたが、あまりの楽しさにあっという間だったという感想しかありません。

群馬県と長野県の県境にあたる、渋峠ホテル。

終着地はもちろん渋峠ホテル。今年、何があっても行くと決めていた場所にたどり着けた充実感は凄まじいものでした。

ホテルの従業員さんと遊ぶインディーくん。やんちゃらしい。

指輪物語』にモリア鉱山やモルドールがなかったら、歴史に名を残す冒険小説にはなっていなかったでしょう。それとまったく同じ理屈で、僕は今回5日間使って渋峠を目指しました。その意味では、十石峠も美ヶ原も、榛名山も、この旅に絶対に必要な場所だったのです。

渋峠に来るまでの道をカットすることは簡単ですが、そうしなくて良かった。延々と山を越えた結果として、僕にとって長野や群馬は身近な、日常生活の場である東京と地続きの場所になりました。

渋峠ホテルの喫茶にて。

東京からであれば新幹線ですぐに行ける長野と群馬。しかし、自転車に乗るまでは行ってみようとは思いませんでした。僕にとってのロードバイクは、「行こうと思ってもわざわざ行こうとしなかった、どこか遠い場所」に行くための道具なのです。

渋峠を下ったあと、湯畑を散策。

夕暮れの草津から眺める白根山。人里に降りると、山を駆け上がっている時間がいかに非日常の体験かがよくわかる。

帰りは群馬のローカル線・吾妻線輪行。非日常が終わった以上、無駄に自転車には乗りたくない。

今回、行きたいと思っていた場所をかなり潰せたので、次はもっと遠くに行くでしょう。それが今から楽しみで仕方ありません。