東京→名古屋360km 21時間36分42秒(初級キャノンボール)
スタート地点、日本橋。
キャノンボールとは、東京〜大阪間570kmを24時間以内に自転車で走破する、人外自転車乗りたちの遊戯。
それに対して、「初心者版キャノンボール」が存在しており、東京〜名古屋間約360kmを24時間以内に走破するというもの。こっちは人間でもいけそうだったし、最高の夏は箱根の先で待ってる気がしたのでやってみました。
日本橋→小田原
天気がちょっと怪しい感じ。
4:42に日本橋を出発。薄曇りで、「雨が降るんじゃないか?」とちょっぴり不安になる天気。
国道15号(以下、国道=R)を進む。巡航速度は、メーター読み30km/h。信号に引っかかりまくったので、日本橋→横浜間のグロス時速は17km/h程度。
珍が1個多いよなぁ? R15沿いのラーメン屋。
湘南の空がいい感じに夏してた。
小田原までは快調。グロス時速は20km/hまで持ち直す。
箱根
悪天候時や不調時は新道を行くつもりでしたが、ともに申し分ないため、旧道へ。
歩いて登ってる人たちがいたり。
10:18、芦ノ湖着。箱根旧道のタイムは1:04:04。
5時間半ほどで箱根旧道を登り切れたのはよかったのですが、暑さと湿気が厳しく、ボトルを使い切ってしまいました。芦ノ湖のセブンイレブンには寄らずに、補給は沼津でする予定が崩れました。
箱根の三島側は快晴。
晴れていると、三島側へのダウンヒルは景色がすさまじい。駿河湾や伊豆半島までも一望できてしまいます。
沼津→静岡
キャノンボールでたぶん一番めんどうな、富士由比バイパスを含む区間です。
東名高速と自転車通行不可のR1に挟まれた、太平洋自転車道へ。
沼津に入ったとたんに向かい風になり、グロス時速を伸ばせなくなりました。高確率で向かい風というのは聞いていましたが、実際そうだとげんなり。
試走済みなのは静岡駅まで、その先は未知の領域。
箱根以外は、無風・平坦をメーター読み30km/hで走れる強度でいくと決めていたので、静岡県内はずっと22〜25km/hで走るハメに。休憩のたびにグロス時速は落ち、改善することはありませんでした。
静岡→浜松
安倍川、宇津谷トンネル、大井川を通過し、金谷峠へ。
大井川橋。
金谷峠は距離2km、136mUP、平均勾配6.7%ほどの登り。ふだん登っている飯能などの峠に比べると、はっきり言って大したことはありません。
でも、精神的にはかなり苦しかった。その理由は、立てていた「できるだけ速く完走する」という目標にあります。ただでさえ向かい風でグロス時速が落ちるばかりなのに、峠に入ってさらにペースダウン。「速く走る」のが根本的に難しい…。
日没前に浜松バイパスまでは行っておきたかったのに、それが無理そうというのもきつかった。自分の限界手前のペースは維持できていましたが、予定は崩れまくりだったのです。
結局、掛川〜浜松バイパスのどこかで日没を迎えた。予定では、グロス時速20km/hを維持して、浜松にいるつもりだった。
ふだん走っている都内幹線道路に比べると、静岡は走りやすかったです。自転車の左側通行を妨げるタクシーとバスがいないので、一定ペースで刻むように進めるんですよね。信号の数も少なめですし。
それ故に、向かい風にはイライラさせられました。「これがなければ一気に抜けられるのに…」と。
浜松湖の花火。
でも、遅れてよかったことも。
浜松・弁天島で開催されていた花火大会に遭遇。地元・仙台の花火大会が2万発ほど打ち上げるため、「地味だなぁ」とか思ってしまいましたが、浜名湖の湖面に花火が映る様はここでしか見られないもの。風も涼しく、風情がありました。
思わず足を止めてしまったのはキャノンボール的には望ましくないですが、夏休みらしいイベントを味わえるチャンスを逃すのももったいない。
浜松→名古屋
お約束の岩屋キャノンボウル。
あとは夜のR1を黙々と走り続けただけですが、身体の痛みを誤魔化すために休憩の回数が増えてきます。知立に入ったあたりで眠気を感じたので、コンビニの壁にもたれかかって10分ほど仮眠したりもしました。2時間に1回の休憩ペースが1時間に1回に。
愛知県内は下り基調で走りやすかったです。でも、向かい風は止まず、グロス時速は17km/h台から動く気配なし。モチベーションはやや落ち気味で、心拍も上がらなくなっていました。
名古屋駅にて。
名古屋市内は信号の接続が悪く、ここでもタイムは伸びず。記録は21時間36分42秒でした。休憩ペースが崩れなければ、21時間は切れたかも。
東海の民によると、「東向きの風は常に吹いているもの」らしいので、無風時を狙って短縮するのは現実的ではなさそうです。
反省点・今後改善すべき点は以下かなーと思います。今回はトルク重視のペダリングだったのですが、それでは向かい風と箱根が苦しい。
- 負荷が高くなるにつれて、ローギア&ハイケイデンスに寄せる
- リアに32Tを入れる。100km程度のヒルクライムコースでは最小ギア比は現行の1.26で問題ないが、300kmオーバーで箱根旧道を行くなら、もっと落とすべき
- 荷物の見直し。Garmin&ライト給電用のモバイルバッテリー・レインウェア・輪行袋・工具をもっとコンパクトにまとめる
- 大休憩はとるべきだったかも。
予定していたグロス時速20km/hは維持できませんでしたが、24時間以内にゴールできたのはよかったです。いずれまたこの手のチャレンジはしたいですね。
Y's Roadのフィッティング「バイオレーサー5000」を受けてきた
フィッティングの数値をまとめたシートをもらえる。
乗り込んでないなら別のサービスのがいいかも。
最近、ペダルをうまく踏めていない感じがしていました。でも、サドル高やハンドル高が大きく間違っている感じはしない。じゃあステムかサドル後退幅のせい?
よくわからんかったので、プロに丸投げしてみました。選んだのは、Y's Roadのフィッティングサービス「バイオレーサー5000」。
サービス内容まとめ
まずは実施店舗(今回は上野本館)に電話をしてバイオレーサー5000の予約を取ります。その際に、フレームのモデル・サイズ、シューズのブランドを伝えます。
当日は実車・サイクルウェア・ビンディングシューズが必要になるので、ふつうにロードでお店まで行きます。
バイオレーサー5000は、以下のような流れで進みます。
- 身体測定
- 数値解析
- テストバイクで確認
- 実車への反映作業
- 質疑応答
所要時間は待ち時間含めて90分。成果物として、サドル高・ハンドル高などの数値をまとめたシートをもらえます。料金は税込5,000円。
何でも解決してくれるサービスじゃない
最初に身体の各部の長さを測ります。具体的には以下。
- 身長
- 股下長
- 肩幅
- 腕の長さ
- 足の大きさ
これらの数値を専用のプログラムに入力し、機械的に最適なセッティングを割り出します。セッティングの算出方法は3種類あり、レース向け・快適性重視・バランス型。これらのうち1つを選んで、採寸した数値を処理するのです。
バイオレーサー5000を検討する場合、ここがネックになるかと思います。
バイオレーサー5000には、上位サービス「バイオレーサープレミアム(税込20,000円)」があります。担当の方にうかがったところ、「バイオレーサープレミアムは、機械的に算出したセッティングに合わせた、ペダリングなどの『身体の使い方』をレクチャーするのが中心のサービス」とのことでした。
翻せば、「バイオレーサー5000では『身体の使い方』に属する相談はサービス外」ということかと。もっと言うなら、細かい調整までするサービスというよりは、「Y's Roadのフィッティング理論に基づいた最適解を提示するのがメインのサービス」と思ったほうがいいでしょう。
(なお、機材面の相談は細かく対応してもらえます。ぼくはハンドルの幅をどうべきかよくわからなかったので、選び方や製品ごとのメリット・デメリットを教えてもらったりしました)
これは、ある程度乗り込んでいて、自分の経験値と照らし合わせつつ、フィッティングを検討したい(できる)人にはいいと思うのですが、「Y'sの提案する数値が自分に合っているのか」を評価しにくい初心者にとっては必ずしもプラスにならないんじゃないかと思います。
初心者やきめ細かなアドバイスも欲しい人は、バイオレーサープレミアムか、ほかのフィッティングサービス(ライダーの経験値を加味したフィッティングサービスという噂のSpecializedのものなど)を受けたほうがいい気がします。
解析でわかったこと
ぼくの場合は、自分の中である程度セッティングの方向性が固まってきており、それが客観的にどう評価されるのかを知り、自分の方向性が妥当かを検討したかったので、バイオレーサー5000はベストな選択でした。
で、解析の結果。ぼくの場合は、「サドルが前すぎ」とのこと。サドル後退幅が根本的に足りていませんでした。
担当してくれた方の所見。
「水平方向が窮屈(ステムが短いか、サドルが前すぎ)」と感じていたのですが、そこをびしっと指摘してもらえた感じ。
直接的な原因はシートポスト。サドルが前寄りになる製品を使っているのですが、「換装するしかないだろう」とのこと。
一方、垂直方向の調整は自分でもできていたことがわかりました。サドル高は解析結果とほぼ同値(1mm差)。ハンドル高は12mm低かったですが、これはレーシーに走りたいならアリな範囲。
自分でセッティングを見るときの目線や調整の仕方、問題の感じ方などは悪くなかったっぽいことがわかって、結構な自信になりました。これが一番の収穫ですね。
テストバイクで適正なセッティングを体験
次に、解析で弾き出されたセッティングをテストバイクで体験。ここで、解析結果や換装パーツに必要な要件を確認・相談しつつ、実車をどう処理するか決めていきます。
注意したいのは、テストバイクにただ乗っても劇的な変化は感じにくいこと。テストバイクの各種セッティングは簡単に変更できるので、実車のセッティングにしてもらうなどして、きちんと比較したほうがいいです。
ぼくの場合は、一番クリティカルなサドル後退幅を比較しました。現状のセッティングでは、上死点から踏むのが難しいのに対して、解析結果通り20mmサドルを下げると、自然と上死点でペダルに力が加わるようになったと感じました。
実車への反映作業
担当の方と相談しながら、以下のように進めることにしました。
- ハンドル高をその場で12mm上げてもらう
- シートポストは自宅にサドルを後ろよりにできる製品があるので、自分で反映
- ほかはママ
反映作業は、パーツを換装しないならバイオレーサーの料金内でやってもらえます(例:ハンドルを上げる、サドルを前に出す、etc.)。新しくパーツを買って付け替える場合は、別途かかるそうです。今回は、換装していないので追加料金はなしでした。
ある程度乗っている人には価値の高いサービス
ぼく的には満足度が非常に高いサービスでした。5,000円で気になっていたことがほぼ解決できました。
ただ、そうした結果になったのは、ぼくがそれなりに(月800kmとか)ロードに乗っていて、自分なりに疑問を持ちつつ、客観的な解答を求めていたからじゃないかと思います。
当たり前ですが、フィッティングで何かがすぐ劇的に変わるわけではありません。ぼくの場合、変わったのは、ハンドルの高さが12mm、サドルの位置が20mmですよ? ミリの世界なんですよね。
バイオレーサー5000で満足するには、ミリの変化を感じられないといけないってことです。
ただ、もしそれが日頃から課題になっていて、実際に意識が向いているならすばらしいサービスです。ってか5,000円で機材面については踏み込んだ相談に乗ってもらえて、数値も出してもらえるのは安いよ。担当者さんの対応も超スムーズで好印象。
総評すると、ある程度乗り込んでいて、機材について明確な疑問を持っている人が受けるべきサービスってことになります。
合うと思った人は試してみてもいいかと。
有間峠を秩父側に下るとホラーが待ってる
こっち見んな。
長らく通行止めになっていた飯能の有間峠が2017年7月上旬に開通しました。
首都圏近郊有数のヒルクラスポット・飯能には数多くの峠がありますが、全体的に距離が短く斜度がきつい傾向にあります。
そんな中で有間峠は全長10km。ほかの峠と組み合わせることでヒルクライムのバリエーションを楽しめるのではないかと気になっていました。
早速行ってみたんですが、下る方向を間違えたかもしれない。
長い、だるい、ぼっちはつらい
まず、名栗湖(有間ダム)まで登ります。写真は1km弱だけど勾配がきついことで有名な「名栗湖前の激坂」ですね。
名栗湖の脇を抜けて先に進みます。
ガレガレだし秘境感すごいな…。
行き止まり。道間違えとるやんけ。
気を取り直して、はい、よーいスタート。
舗装は比較的綺麗ですが、砂利っぽいところが多いです。
へびしゃん。
沢の近くはやっぱり涼しい。
まぁまぁいい感じの滝。
…なんだけど、景色が開けないまま10km登るので飽きる…。
駅近なのを考えると、グループライド向けの峠かなと思います。とにかく単調なんで、誰かとダベりながらだらだら登りたいやつ。
頂上からの景色はなかなか。
恐怖のダウンヒル
来た道を引き返してもいいのですが、実は秩父側にも下れます。今回は登りが退屈すぎたのでダウンヒルは刺激を求めて未知なる秩父側へ。
この選択がぼくの運命を大きく変えることになった。戯れが常に良い結果に結びつくわけではないということだ。
山道を道なりに下っていくと水量が激減した浦山ダムが見えてきた。梅雨明けも近いが、今年は大雨が続いた記憶もない。
そういえば、香川県民は水不足になると高知や徳島から水をもらってきてうどんを茹でるという。今年の四国では主食の違いが悲劇をもたらすかもしれない。
そんなとりとめのないことを考えていたときだった。ぼくは道端から粘っこい、夏の湿気のような視線を感じた。
そちらを見てぎょっとしたが、何のことはない、ただの木像だった。どうやらスフィンクスを象ったもののようだ。
だが、視線はひとつではなかった。
…狛犬、なのか?
よく見れば、道端には奇妙な彫刻がいくつも並んでいる。
なぜこんなものが…?
言いようのない居心地の悪さを感じずにはいられなかった。
──……だぁ
──だなぁ
──ハハハハハ
今度は背後から話し声が聞こえた気がした。振り返ると、テントが張ってあって、その中で地元の人たちが何やら談笑しているように見えた。
日曜日だから、地区行事の準備でもしているのだろうか。
…
……
………
声が止んだ。
気に障ることでもしてしまったか?
写真を撮ったのがまずかった?
そうだ、撮影許可はもらわないと。
──すみません、写真を…。
ぼくはそこで気づいた。最初から声なんか聞こえるはずがないことに。
テントの中にいたのは、人形だったからだ。
ダウンヒルで身体が冷えたわけでもないのに、背筋が冷たかった。
…
……
………
この辺は作り話です。
これらの彫刻・人形は地元のアーティストの方が製作し、ツーリズムの一環で道路脇に設置されたもののようです(それっぽいことが書かれた看板がありましたが、詳細は不明)。おかげさまで妄想が捗って楽しかったです。
その後は、秩父駅まで下りました。有間峠の頂上から20〜30kmほどでしょうか。わらじカツ丼を食べ、レッドアロー号で帰宅しました。
名栗近郊には、焼きカレーで有名なカフェレストラン「ターニップ」やスイーツがおいしい有名店「Cafe Kiki」など、グルメスポットが多いこともあって、秩父側に下る人は少ない気がしますが、有間峠や山伏峠を登ったあとは秩父駅から輪行するのもバリエーションとしてアリだと思います。
ちなみに、わらじカツ丼は秩父駅のフードコートで食べましたが、ふつうにボリューミーでおいしかったです(約1,000円)。地元の名店はほぼいつでも並んでいるので、割り切ってこちらで食べてしまうのもいいんじゃないかと。
標高2,000m以上を走れば猛暑日でも滅ばないでしょ
(坂シャブしたいだけでは)ないです。
突然ですが、夏場における山岳ライドのメリットを考えてみましょう。
- 標高が高いのでそもそも平地より涼しい
- 山間部は木が多いので、木陰を走れる
- 風が吹いていることが多い
ローディ最大の敵・熱中症を避け、避暑ライドでチャリ充できるのは確定的に明らか。
じゃあ大勝利してきますね。
都内>奥多摩自走はいいぞ
はい、よーいスタート。
朝2時に都内を出発。
早朝の青梅街道の気持ちよさ。
日の出直前の奥多摩・御嶽付近の味わい深さ。
電車が走っていない田舎の鉄道ってなんでノスタルジックに感じるんだろう。
早朝に奥多摩湖を見るのは初めて。夏の朝だ。
山梨に向かう大菩薩ラインに突入。日が昇っていますが、車道は木陰になっていて快適(斜度はふつうにきつい)。
奥多摩の果て、柳沢峠に突入。すでに日は高く、写真のコントラストがすごいことに。
茶屋で休憩しよっか。
小川のせせらぎ is 最高。気温は20度ちょっとだったと思います。やっぱり山なんだよなぁ。
片岡鶴太郎さんもおすすめ、旅館「はまやらわ」のわらび餅。この上品な甘さを森の中で味わう贅沢。
標高は1,400mほど。山々は夏らしい緑色。
登りでほどよく上がった体温を走行風が冷ましてくれる、夏ならではのダウンヒル。そして立体感ある鉄橋がすばらしい。
夏こそ山。Q.E.D.証明完了です…。
標高2,000m以上はもっと快適じゃろうて
そんなわけで山梨県に突入。ここまで走行距離130km・獲得標高2,000mほど。しかし、今回の真の目的は長野・山梨県境にある自動車道最高標高地点・大弛峠、標高2,365m。
まだいくぞ。
いきなりGarminが壊れた。最高気温43度をマーク。
柳沢峠を下った先は甲府盆地、この日の関東一帯は猛暑日だったので盆地パワーでとんでもない気温に。
大弛峠まで10kmほどでしょうか。果樹園地帯を突っ切るフルーツラインなる道を走ったのですが、これが完全なる鬼門。
おいしそうだね(直射日光に焼かれながら)。
おいしそ(略)。
果樹は背が低く、日光を遮ってくれません。そしてうれしいことに無風です。大弛峠に近づくにつれて平坦ではなくなりますが。
ここからは写真なしです。直射日光を浴びながらたらたら撮影していると熱中症まっしぐらと思ったので。
大弛峠まとめ
大弛峠を登るコースは全長30kmとされますが、実際はおおまかに4パートにわけられます。大弛峠自体は16km800mUPほどですが、前座で1,000mほど登らされる形です。
きついのは1と2と4です。ほとんどじゃねーかたまげたなぁ…。
1の果樹園地帯は前述の通り、直射日光に晒されるのがヤバすぎです。ぼくの場合、ボトル1本、ジェル1個、塩梅半分がここで消えました。斜度もきついので消耗が半端ないです。
2の林道区間は木陰に入るので1の果樹園地帯よりはマシですが、**長くて斜度8%程度が続くうえ、景色が微妙なのでふつうに苦行です。
今回は1のせいで補給物質が足りず、中間地点にあった登山者向け宿泊施設「金峰山荘」で強制休憩となりました。
金峰山荘 | 山小屋民宿、新宿から2時間!山紫水明の別世界。
真夏でなくともここでの休憩なしに登り切るのはきついでしょう。
大弛峠本体は10kmほどゆるゆる登ってから一気に斜度アップするタイプ。本番区間は6km斜度10%ほどあり、相当なしんどさです。前半が本当に緩いので後半きついのが読めてしまうのがまたイヤな感じ。
景色も終始開けません。ずっと森の中です。
これはゴール地点も同様です。
この写真はよく見かけると思うのですが、景色がよくないからこれ以外撮りようがないんですよね。一般的な言い方をすればクソ坂です。
予定ではゴール地点から徒歩で展望台「夢の庭園」まで登る予定だったのですが、電車に間に合わなそうだったので今回は断念しました。これはリベンジ確定ですね…。行きたい人がいれば一緒にどうですか? 楽しいですよ。
でも実際山は快適
大弛峠はそもそもしんどいのでこうなるのも致し方ないのですが、林道系自体はおすすめできると思います。
大弛峠も林道区間に入れば直射日光を避けられましたし、本番区間は今の季節でもひんやりしていて、体温上昇で苦しむことはありませんでした(もちろん、経験値や体格で感じ方には個人差があるでしょう)。
今回のライドで一番ヤバかったのは、明らかに猛暑&強烈な日差しに晒される、標高が低めの山梨盆地でした。特に大弛峠に近づき、斜度がきつい区間ではリアルに命の危険を感じました。
今回の結論は、山がどうこうというより「夏は木陰を走れるコース(標高が高いとモアベター)を選び、酷暑&直射日光を避けるべき」ということになるでしょう。
首都圏近郊だと、サイクリングロードや沿岸部より、箱根や飯能のほうが安全かもですね。特に箱根の新東海道はレイアウト的に直射日光が当たらない区間が多いうえにコンビニも多いので水分補給しやすくて良さげです。
記事ではあんまり触れていませんが、補給ポイントは毎回ぎっちり調べて走っています。水を補給できないケースが一番ヤバいので。リスクヘッジしつつ夏のライドを楽しみたいもんです。
この記事の内容自体は山キチのみなさんには常識な気がしますが…。
カンパニョーロ・シャマルミレ・1,600kmインプレ:一言で言うなら「レース用」
2017年のGWに鉄下駄ホイールから、カンパニョーロのハイエンドアルミクリンチャー「シャマルミレ」に換装しました。この記事は1,600km走った時点でのインプレッションになります。
まず、鉄下駄→シャマルミレの換装ですぐに感じた点をまとめます。
- 巡航速度がそれなりに上がった(ぼくの場合は2km/hほど)
- ヒルクライムがマジで楽になった(1日の限界獲得標高1,500m→2,500m以上)
- コンチネンタルグランプリ4000SIIだと乗り味はかなりかっちりしているが、疲労につながるわけではない
- ブレーキは本当によく効く
「走るのがある程度楽になり、より速く走れるホイール」というのは確定だと思いますが、今回はもっと細かい点を書きます。実売13〜15万円である以上、この程度のパフォーマンスは当たり前。その上で「ライダーとの総合的な相性がいいか」こそが真に重要です。そのため、このインプレではロングライド志向であるぼくがどうシャマルミレを評価するかを書いています。
長いので最初に書きますが、結論は「エントリーグレードのカーボンフレームとシャマルミレが合わない気がするから、フレーム換えるわ」です。興味があれば最後までお読みください。
高負荷環境で生きる剛性の高さ
シャマルミレで目立つのは剛性の高さ。ダンシングで踏んでも歪むことなく、推進力に変換される感じがします。この高剛性の恩恵を一番受けたのは、富士ヒルのときです。斜度がアップするワインディングはトルクをかけて一気に抜けるのが効率的なので毎回そのようにしていましたが、シャマルミレでそれをやるとほかの参加者を何人も抜けました。ぼくは急斜面で相対的に速く走れたわけです。それはシャマルミレがトルクをかけるほど応えてくれるホイールだからということになるでしょう。
平坦でも「ダンシングで踏んだときに加速する」という印象は変わりません。ぼくの脚力だと35〜37km/hあたりで「壁」を感じるので、それ以上に上げることは積極的にはしませんが、ダンシングをすれば上げること自体は容易です。鉄下駄はダンシングをしても加速感がなかったのでほとんどやりませんでしたが、シャマルミレ換装後は加速目的でのダンシングを多用しています。
このように、シャマルミレのアドバンテージは「ダンシングで踏んだとき」に一番感じられます。
一番このホイールにしてよかったと思ったのが、平均心拍数174bpm(最大心拍数の約90%、Strava推定90分平均182W)で走った富士ヒルだったというのは、このホイールの特徴をよく表しているように思います。シャマルミレの性能が最大限に発揮される負荷がどの程度かはぼくの脚ではわかりませんが、たぶん、NP300W以上のライダー向けに設計されているでしょう。非常にレーシーなホイールなのではないでしょうか。
「低〜中負荷での効率」が微妙な理由を考える
次に「ロングライドで重要になる低〜中負荷の巡航」「主観的な楽さ」にどう影響したのかについて書きましょう。ぼくが真にシャマルミレに期待したのがこれらでしたが、先に述べたように一定の効果は得られつつも「満足できた」とは言い難いです。
本題に入る前に、ぼくが使っているフレームのスペックを示します。Anchor RFX8 Equipe 2012 Editionという中古で買ったフレームで、ジオメトリーはエンデュランス系。剛性を犠牲にして快適性に振ったエントリーグレード・カーボンフレームです。鉄下駄のときは「フレームに対する不満」はあまりなかったのですが、換装後は「次にアップグレードするならフレーム」と考えるようになりました。つまり、ホイールとフレームの相性が悪いと感じているのです。
その理由は「自分的に効率的な回転重視で走ったときに力が伝わらない感じがする」ことにあります。ここで言う「効率的」は「特定の負荷で走ったときの体力消費が少ない感じ」を意味します。
ぼくのペダリングは回転系で、友人と比べて10〜20回転ほど多く回します。ケイデンスでいうと90〜105が一番楽です。同じ速度で走るならギア比ではなく、ケイデンスを上げます(低ギア比・高ケイデンスのほうが、高ギア比・低ケイデンスよりも明らかに消耗が少ない)。シャマルミレで非常に効率的に感じるダンシングですが、そもそもぼくはダンシングを好まないのです。シッティング・一定ペースで刻むほうが合っており、ホイール換装に期待したのもこうした走り方でより効率的に走れることでした。このように「低〜中負荷での効率」を重視するのは、ぼくが最後に触れるようにロングライド志向の乗り手だからです。
そして、そんなぼくとシャマルミレをアセンブルされたロードバイクの間にミスマッチが生じたわけです。
シャマルミレで「効率的」なのは「高負荷」なのです。GarminやStravaのデータをホイール換装前後で比較すると、巡航域の速度アップに伴い、心拍数も上昇していました。これに対して高負荷域では、心拍数は変わらないのに対して速度は大幅に上昇していました。これが意味するのは、「巡航域での速度自体は上がっているが効率自体はさほど伸びていない」ということになるはずです(効率が上昇しているのなら、速度の伸びに対して心拍数の上昇は抑えられる)。
結果として、自然と効率的かつ速く走れる高負荷よりの走り方になり、自分的に楽な走り方ではなくなってきました。
問題は「なぜ回転重視だと効率がいいと感じられないのか?」です。これはどうしても体感になってしまいますが、「回転重視で走ろうとすると、力が下に逃げてしまう」という印象です。別フレーム同ホイールで比較することができないので他フレームを試乗した経験からの推測になりますが、一般的にエンデュランス系より剛性の高いレース向けフレームでは回すだけでもある程度の加速感が得られたので、フレームの味付けとシャマルミレの特性、そしてライダーの性質が噛み合っていない可能性が高いと思いました(ペダリングが適正でないという可能性もありますが、よりセッティングが雑な試乗車でそれが感じられないのが謎。何かしらの面でフレームと相性が悪いのはまちがいない──おそらくはフレーム剛性の問題か?)。
シャマルミレは誰のためのホイールなのか?
総合的なインプレッションは「シャマルミレは最大100〜150km程度のワンデーライドに向いたホイール」となります。積極的に踏んで加速し、定められた距離で体力を使い果たすように走るのに向いたホイールなのではないでしょうか。この性質は各種レース目的でロードバイクに乗る人なら歓迎でしょう。
しかし、ぼくがもともと得意なのは低〜中負荷で延々走り続けることだし、そういう走り方をしたい。ミニベロで200km走ったり、ロードバイクに乗り換えてからすぐに350kmほど走ったりと、長めのコースを走破してきました。最近ヒルクライムばかりしていているのは、「今乗っているロードバイクのアセンブルだと長距離を意識した走り方にあまり効率的な感じがしないから」。要はロングライドがちょいだるいと感じている。100〜150kmで使い果たすような走り方に向いたロードバイクは自分には合いません。シャマルミレに換装したことでそんな感じになってしまったので、新しい走り方を練習できる反面、斜め上感があるというのが正直なところです。
そこでぼくが出した結論は「フレームを換えよう」。「フレームと相性のいいホイールを探す」という選択肢もあるのにそれを考えていないのは相対的に印象が悪いのがフレームだからです。快適性に振ってはいるけれど、そのメリットはそんなに感じられない…。むしろ、シャマルミレのほうが「総合的な快適性」には貢献しているんですよね。毎週末1,500mUP以上のヒルクライムができるようになり、200km程度のライドならコンスタントにできる。そこまでハイスペックなホイールが低〜中負荷で微妙に感じるなら、フレームをアップグレードしたほうがいいんじゃないの?という感じです。
今のフレームは「カーボンの扱いに慣れる」という意味で中古で買ったという側面が強く、早くも役目を終えて本命に買い換える時期が近づいているだけとも言えます。
そういう意味でホイール換装はとてもいい経験になりました。よく言われるフレームやホイールへの不満がどういうところに起因するのかちょっとわかった感じ。たぶん一般的にはこれを「自転車沼」と言うのだと思います。
10カ月で8,000km走ったので富士ヒルに出てみた
2017年3月、いつも一緒に走っている中川苦行氏が「富士ヒルに出たい」というので一緒にエントリー。
2016年8月にミニベロに乗り始め、年初からロードバイクに乗り換え。10カ月で8,000kmほど走りました。ヒルクライムレースを意識せずに乗っていたわけですが、どんな結果になるのかはちょっとだけ気になっていました。
富士ヒルで走ったのは以下のコース。
- 走行距離:24km
- 獲得標高:1,255m
結果:だいたいブロンズ達成
富士ヒルでは、特定タイムを切ると表彰状がランクアップし、それが実力の目安になっています。
- 65分切り:ゴールド表彰
- 75分切り:シルバー表彰
- 90分切り:ブロンズ表彰
ヒルクライムをある程度真面目にやっているアマチュアライダーがとりあえずの目標とするのがブロンズ(90分切り)です。
んで、僕のタイムはどうだったかと言うと…。
92分、だいたいブロンズですね(ポジティブシンキング)。
真面目な話、この結果は素直に嬉しかったです。というのも、僕は自転車に乗り始めた段階では体重が80kg近くありました。坂なんてまるで登れない、という状態からのスタートでした。
最初に買ったスポーツ自転車はBianchi Pisa Sport Drop。ホイール径が小さく、非力でもペダルを回しやすいミニベロロード。
僕は初めてのスポーツ自転車としてミニベロロードを選んでいます。その理由は「クロスバイクやロードバイクだと坂がのぼれなさそうだから」。通勤で使うつもりだったのですが、経路上には短い坂がいくつもあります。それらを押さないで登れる気がしませんでした。
買って登ってみると息は切れるし汗だくになるし、ほかのローディにはバカバカ抜かれるしで、登りには苦手意識しかありませんでした。
その一方で、坂をどう効率的に登るかを考えるのは結構おもしろかったです。ゲームを攻略している感じですね。乗り始めて3カ月で体重が7kg落ち、都内の坂はある程度登れるようになったので、ミニベロでヒルクライムをスタート。大垂水峠、聖蹟いろは坂、百草園、仁田山峠などをクリアしていって、都民の森・和田峠と順番にレベルアップしていきました。
子の権現はロードバイクに乗り換えてからチャレンジ。
ロードバイクに乗り換えてからは、渋峠に行きたかったこともあって、かなり積極的に登りを練習。
でも、登りが速かったわけではないです。練習中はガチで練習しているクライマーに抜かれるだけでした。今でも体脂肪率は高めで、体型的なアドバンテージはないどころか、もっと痩せたほうがいいでしょう。
そういう状態からの富士ヒル92分。ブロンズは達成できていませんが、都民の森を初めて登ったときは2時間かかったのです。それよりずっと長く厳しいヒルクライムを2時間どころか100分を切って完走できたことのほうが僕にはずっと大事です。走っているときも基本的に常時誰かを追い抜いている感じで、それなりに登れるようになったことがはっきりとわかりました。
別に富士ヒルが大きな目標だったわけではありません。より遠くへ行こうとすると、山岳は避けられず、そこで失速しているようでは行ける場所が限られる。だから、ある程度登れるようになりたいというのが、自分なりに登りを研究し始めた動機です。とはいえ、こうやって数字としてそれなりの結果が出たことはやっぱり嬉しい。
富士スバルライン最終盤には平坦区間がある。非クライマー体型の筆者はここでのスプリントにすべてを賭け、実際には時速40km/hで駆け抜けた。一般公道ではなかなかできない体験であり、凄まじい快感だった。(撮影は試走時)
イマイチ興味のなかったヒルクライムレースですが、公道を閉鎖して自転車だけで走れるというのは結構な非日常体験だということもわかりました(冷静に考えると、世界遺産級の観光資源から車を締め出すって結構すごい)。富士ヒルにもう一度出ることは考えていませんが、また出てもいいかなーという感じになっています。出るなら来年のハルヒルあたりかなー。
日本最高峰を登るという悦楽。富士山スカイラインを登ってきた
「富士山を登らないか」というお誘いがあったので、ホイホイついていきました。今回は、富士山を登る道路の1つ、富士山スカイラインをレポートします。
走ったコースは以下のとおり。
- 走行距離:60.3km
- 獲得標高:1,942m
34kmで1900mUPする強烈な登りです。途中、短い平坦・下りが含まれますが、8〜11%が頻繁に登場し、しかも距離が長いというコース。しかし、風張林道とは異なり、ヒルクラの楽しさを味わえる、すばらしい場所でした。
クライマーと登るのは刺激的
今回誘ってくれたのは愛知のローディ・まっと氏。ロードバイクを購入してから毎週のように愛知の峠を攻め、今やほとんど制覇してしまった彼は、さらなる刺激を求めてわざわざ富士山までやってきた真性の山キチである。
一緒に走ったローディ・まっと氏は小柄で痩せ型の典型的クライマー。毎週峠を登っており、富士山の急傾斜も丁寧に越えていきます。
僕は基本的にケイデンス型で、登りではダンシングも多用するタイプなのですが、まっと氏はケイデンスは低めで走り、ほぼシッティングで登るタイプ。走り方が全然ちがっていて、見ていておもしろいです。
斜度がきついところではどんどん離される感じで、もうちょい痩せないとなーと。軽い人が一定ペースのシッティングで登っていくのを見ると、うらやましくなりますね。一方で、斜度が緩くなったり、ダンシングで加速すると僕が前に出るという感じで、体格のちがいがいかに如実にヒルクライムに影響するかがわかって新鮮でした。
標高450mから2300mまで登ることの意味
富士山の特徴は一定斜度の登りが続く点にあります。カーブも多いのですが、スケールが大きく、道の作りがとにかく大味。Garminの獲得標高はもりもり増えていき、景色は目まぐるしく変わっていきます。
序盤は山麓の樹海を黙々と登っていく感じですが、要所要所で顔を出す富士山がテンションを上げてくれます。きつい登りですが、ゴールが定期的に目に入るので登るモチベーションは維持しやすいです。
3合目で標高は2000mに到達。
空の近さにテンションが上がってヒャッハーしている筆者。撮影:まっと
4合目で2300mになります。3合目までも決して緩いとは言えない斜度が続きますが、カーブが頻発し、斜度も数段アップする4合目以降が本番です。しかし、空が近い!
横を見れば、長野の山々や富士宮市の全景が。この時点で30km以上を休みなく登り続けており、獲得標高も1600mほど。斜度はきつくなる一方ですが、先に行きたい気持ちは強まる一方。
スカイラインの5合目に到着。そして、そこで待っていたのは…。
まっと氏の愛車はRIDLEY PHENIX。山ジャンキーなのに爽やかなホワイト&ブルーのフレームというミスマッチ。
眼下に雲があります。これは美ヶ原でも渋峠でも見られなかった光景です。
伊豆半島から沼津市、富士市のある三河湾の海岸線も見えます。土地の立体感がものすごい!めちゃくちゃな表現をするなら、実物大の立体地図を見ているような感じ。いや、これがホンモノの世界なんだけどね。
おそらく、スカイラインは富士山を登る3つの道路「富士3Peaks」の中で一番景色がいいのではないでしょうか。難易度も最上級ではありますが、それに見合った経験ができるはずです。